「そして、あたしの彼氏っ!」

ぴょこっと藤堂先輩の背から出てきたのは。

「菜穂!?」

深緑菜穂(しんりょく なほ)、私の大親友。

170㎝のモデルさんみたいな身長。

出るとこは出て、細いとこは細い理想的な身体。

ショートカットの黒髪は艶やかで。

大きな黒い瞳はキラキラと輝いている。

「いやー、月見里に理恵のこと貸したはいいけど変な事されてないかって不安になってさ。蓮に来てもらった!」

連れてかれてすぐに呼んで正解、と笑って。

パンッと手を叩きあう藤堂先輩と菜穂。

お似合いだ。

170㎝と女性にしては高い身長の菜穂を悠々と越す藤堂先輩。

美男美女。

見とれてしまう。

あれ?

連れてかれてすぐに呼んだってことは。

結構前から見てたの?

「何ですぐに助けてくれなかったの?」

びくっと菜穂の肩が跳ねる。

怪しい。

「菜穂、ケータイ見せて」

私がケータイを取ろうとすると思いっきり手を上にあげる。

ますます怪しいけど私の身長じゃ届かない。

「菜穂?」

ふふ、と怪しい笑み。

絶対に何かしてる。

「深緑さん、借りるね」

私に集中している菜穂の手からケータイを奪う月見里君。

ナイス。

あとはそれを私に。