私の机の上には、数学の教科書。

それはどう見たって私たちが普段使っているもので。





「先生、俺間違えて芽…、柳瀬さんの教科書持ってましたー。ということで俺が教科書忘れましたー、てへ」


「…柳瀬が忘れるわけないと思ったんだよ。ほんとしっかりしろ持田。というか、てへだと?舐めてるのか?」




勝手に進んでく話に、私だけ置いてきぼり。

教科書を裏返して、裏表紙をめくってみる。



そこに書かれているのは、もちろん私じゃなくて

"持田 海"

という男のくせに綺麗な字で書かれた名前。