「34ページの文章題からいくぞー。まず問題を読んでもらうか。じゃあ──柳瀬」 どうしてこういう時とこそ当てられてしまうんだろう。 自分の運のなさがとことん憎い。 静かな教室が、読み始めない私に注がれる視線が怖い。 「柳瀬、教科書も開いてないじゃないか。なんだもしかして忘れたのか?」 もしかしたら、この中に犯人がいて困ってる私を見て笑ってるかもしれない。