「いや…って、あれ」


「ん?」



眉間にシワを寄せて暫く黙ると



「よし、ご飯だご飯!」



パン、と両手を鳴らして千春は教室へと歩きだした。

……はぐらかされた。



だけど、壁が助けたかったにしろ、焦ったにしろ。




「芽依ー、早く!」


「はいはい」




私には、迷惑だ。

誰かを想うのも想われるのも、こりごり。


──あ、想われてなかったか。



自嘲するように笑うと、私は千春を追いかけた。