「何で教えてくれなかったの…!?知ってたら……私、私…っ」
「黙ってたのは、お互い様でしょ?」
俺の言葉に、うっ、と言葉をつまらせる。
それに…何でかなんて芽依だったら、分かるでしょ?
「あの時は守りたくてもずっと芽依の傍にはいられないから、俺がいない時に襲われちゃったらどうしようもない。
…なら、芽依のためにも俺は離れた方が良い、そう思ったんだ」
雲ひとつない夏空を仰ぐ。
今日とは正反対の空の下、君は何時間俺を待ち続けて、体を、心を、震わせていたんだろう。
そんなことを思うとさ……俺、今さらになって思うんだ、芽依。
「あの時の俺は色々あっていっぱいいっぱいだったから思い付かなかっただけで、方法なんて幾らでもあったのかもしれないね」