「……え」


「芽依が傷付く理由なんてどこにも無かったのにね」


「待って、空!」





逸らされたはずの視線は気付けば真っ直ぐに俺に向けられていた。


目を見開いて、隠しきれない動揺に彼女は震えていた。





「誰かに傷付けられるくらいなら、俺が傷付けようと思った」





誰ももう彼女を傷付けられないように。


知らない誰かがこの綺麗な瞳を汚すなら、この笑顔を奪うなら、彼女を壊すなら

いっそ俺がそうしよう、そう思ったんだ。





「歪んでるでしょ、俺」