耐えきれず、その場から離れようと立ち上がれば案の定、腕を掴まれて制された。




「何で、逃げんだよ」


「帰らなきゃ、親が心配するでしょ…」





…なんて、嘘。

両親とも夜勤で今夜は帰ってきたりなんかしない。


それでも、口実が欲しかった。


ここから、持田から、彼の真っ直ぐな想いから逃げ出す口実が。


……たとえそれが、どれほどバレバレな嘘であっても。