名前を呼ぶだけで、
腕を掴むだけで、
こんなにも芽依ちゃんの心を掻き乱すコイツが……羨ましくて、憎かった。
だから、焦って砂浜であんなこと言って、あげくのはてに謝られて。
もう本当にやめようと思った。
髪を黒く戻したら、芽依ちゃんを好きじゃなかった頃の俺に戻れると思った。
だけど気がつけばコンビニはわざわざ家から遠い彼女の家の近くにある方に行っていた。
不意に口からこぼれる名前も、目を閉じれば浮かぶ顔も、芽依ちゃんで。
どうしたらいいか分からなくて、もどかしくて、歯痒くて、イライラして。
喧嘩して、殴って、蹴って。片っ端から当たり散らした。