後から考えれば不自然なことは、幾つもあった。 確かにおっとりはしていたけど、頻繁に怪我をするようになった。 忘れ物が増えた。 「──海」 まるで俺がそこにいるのを確認するかのように、名前を呼ぶ回数が増えた。 だけで俺はバカで 「うっかりしちゃって」 「ボーッとしてたの」 「何か、呼びたくて」 莉子の言うことを疑いもせず全てを信じた。