春は桜の咲いた通学路を二人で歩いて。


夏はお祭りに行って花火を見た。



秋は、冬は、莉子とどこに行こう。何をしよう。



俺の世界は莉子中心に回ってるんじゃないか、って思うほど気付けば莉子のこと考えてて。

本当に莉子が好きだったんだ。



それなのに俺は気付けなかったんだ。



その笑顔の裏に潜む影に。

彼女が抱え、隠すものに。





「その痣、どうしたんだよ」


「ちょっとぶつけちゃって…ドジだよね、ほんとー」





こんな簡単な嘘さえも見抜けなかった。