目の前にいる持田の悲しむ顔は見たくない。
ちゃんと私を想ってくれてるから、守ってくれたから。
助けてくれたから、支えようとしてくれたから。
そんな罰当たりなことはしたくない。
それはきっと、好きじゃない。そう答えれば見ずにすむのに。
──芽依。
久しぶりに会った空の声が、纏う雰囲気が、彼自身が。
いつかの彼とリンクして。
私を好きじゃないと言うことを躊躇わせる。
さっき私の前にいた彼はきっと私が好きだった彼だったから。
冷たくされても、突き放されても、裏切られても。
どれほど頑張っても嫌えなくて、だって彼は優しい人だったんだって、いつまでも私をそこに留まらせ続ける、記憶のなかにしか存在しない彼だったから。
好きじゃない、そう言うには、目の前の空はあまりにもあの頃のままで、綺麗すぎた。