「離してよ……空」 彼の方を見ずに、私は言った。 だけど久しぶりに呼んだ名前は、情けないほど頼りなく、彼に届いたのかさえ分からないほど小さかった。 「男嫌いって…どういうこと?もしかして……」 「おい、芽依ちゃんの手、離せよ!」 「──もしかして、何?」 もしかして。その言葉のあとに、空は、一体どんな言葉を紡ぐ? 「俺のせい?なんて言ったら…殴ってやる」