だけど、一気に体が強ばって動かなくなった。



突然後ろから聞こえた声に、助かると安心したわけでも、この変な男、矢野っていうんだって思ったわけでもなくて。




ただ、後ろから聞こえた声が、とても綺麗で。

震えるほど、綺麗で。



私は、この声を知ってる。

そしてこの体が震える、本当の理由を。



この綺麗な声で紡がれる言葉が私はとても好きだった。

どうしようもなく、好きだったんだ。






「おぉ、空!早くこっち来いって、めっちゃ可愛いこ見つけたんだから」