「………いい加減にしてよ!」 ひとつの背中を追いかけて、廊下を走って、階段を上って。 だけど、何度呼び掛けても、振り返らない。 耐えられなくなって、四階に差し掛かろうとした時に思わず、そう叫んだ。 人目を気にして、避けたり、あまり話しかけないようにしてたけど、 今はそんなこと、どうだって良かった。 「──壁っ!ねえ、聞こえてるんでしょ!?」 「……俺が芽依ちゃんの声、聞き逃すわけないでしょ?」