「……あっそ」 冷たい声が降ってきたかと思うと、同時に足元にも何か降ってきた。 見るとそれは、上靴だったもので。 突然返ってきた、それは。 奪い返そうとしてたくせに、いざ返ってくると ただのゴミで、必要性を感じない。 「……あ、ちょっ、逃げんな持田っっ!」 返すと、そのまま無言で教室へと向かっていく。 千春の怒った声にも、一度も振り返ることはなかった。