壁が突然、立ち上がって、私の前にしゃがむ。 椅子に座る私の方が高くて、赤い髪から覗く瞳に見上げられて違和感がある。 「珍しい。この距離に来ても、怒らないんだ」 「話をそらさないで」 そう言うと困ったような表情を浮かべる、壁。 「殴ったの?市原くんのこと」 「もし、そうだったら。そうだったら、芽依ちゃんはどうするの?」