「もう私、先に行くからね!」





そう言って私は先に屋上を後にした。

だから





「……強いよ、芽依は。私たちがもっと強ければ……

あの時、違う守り方が出来たのかな?」





あのあと千春がどんな顔で、何を思っていたのかなんて知るよしもない。



何を隠すのが、何を告げるのが。幸せなのか、相手のためなのか。

高二の私たちにはまだ分からなかったんだ──。