そんなバカなことを考えながら袋の中を覗いてみる。 「………バレてたんだ」 いつからバレてたんだろう。 袋の中から "一冊" 取り出す。 「教科書?」 「だね」 何でと不思議そうな千春。 壁は気付いてたんだ、私の数学の教科書が落書きされて使い物にならないこと。 でも、されないように教科書類は必要最低限持ってきて、学校では常にロッカーに入れてちゃんと鍵をかけてた。 だからあれ以来されることはなかったけど。