「千春…?」




壁の後ろから現れた千春。

壁が大きくて、すっぽりと隠れて気付かなかった。


けど、うつむいていて表情が分からない。




「じゃあ、俺は大人しく教室に戻りまーす」



そう言うとヒラヒラと手を振りながら来た道を戻っていった。






残された私と千春。

喋る気配どころか動く気配すらない。


きまずい空気が私たちを包む。