「ズルいなー…、芽依ちゃん」




そう言って笑った壁は、どことなく嬉しそうで。






「ねえ、芽依ちゃん?抱き締めて良い?」


「え、なに。死にたいの?」


「芽依ちゃんに殺されるなら、アリかも」





……やっぱり会話は成り立たない。


だけど、いつもと変わらないことが幸せだと思えた。





「あー、いた芽依!探したんだよ、帰ろ!」


「うん!千春、帰ろっか、二人で」


「俺と芽依ちゃんの二人?」






でも、私は知ってる。

幸せなんて束の間だって。