ねえ…先生…京太朗さん。

私ね、凄く幸せだよ。

充分過ぎるくらい幸せだよ。

2年前の17歳のあの日。

先生によって塗り替えられた

私の運命…後悔してない。

何度も言うけど幸せで嬉しいの。



…あっ…そうだ。

おねだりしてみようかな…。

京太朗さん、どんな反応するかな?

重なっていた唇が離れ

そのまましばらく

私と京太朗さんは見つめ合った。

「…どうかしたか?」

沈黙を破った京太朗さんに

「…あのね、京太朗さん。」

と、私は少し上目遣いに見つめた。

「…ん?何だ?」

と、耳を近づけてきた京太朗さんに

私はそっと

「……天城先生。
ハチミツキスをして下さい。」

と囁いた。


「………。」

目を見開いて私を見る京太朗さんに

「…あの時の、数学準備室で
先生が私にしたハチミツキスを
今…ここで、もう一度…して下さい。」

私は上目遣いでおねだりしてみた。


「….…おい、光華。
本気で言ってるのか?」

戸惑うような表情で

私の顔を見る京太朗さんに

私はコクンと頷いた。

「……あれか。」

一瞬天井を見上げた京太朗さんは

再び私に視線を戻すと

「…いいのか?
あの時は、場所が場所だったし
お前も生徒だったから
俺も一応、理性をセーブして
手加減してたんだぞ!?
だけど、今はもう夫婦だし
ここでアレをしたら、俺は多分
……今度は手加減出来ないぞ?」

それでもいいのか?

と、意地悪そうな笑みを浮かべながら

私の瞳を覗き込むように念を押した。