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A学院を卒業して

半年の月日が流れた。

天城先生はE大付属高の

教諭になって2年目に入り

今年は2年生のクラス担任になった。

友人のりっちゃんは

同級生の彼氏と一緒に

エスカレーター式でそのまま

A学院大学に進学した。

メールや電話は勿論

たまに会って

ランチやお茶をする度に

充実した大学生活を

送っている話や

今もラブラブなお付き合いをしている

彼氏の惚気話をしてくれる。

「…でも、みっちゃんが
進学しなかったのは意外だなぁ…。
この間、進路指導の田中先生に
偶然校内にいたから話したよ。」

「…ああ、田中先生ね。」

懐かしい名前に頷くと

「…田中先生ね
みっちゃんが進学しなかった事を
今でも残念がってたよ。
みっちゃん、いつも上位だったから
A学院大は勿論、他の有名大学だって
狙えたのに…って。
そう言ってたよ。」

「…そっか。」

確かに田中先生には何度も

進学を進められたっけ…。

「…でもね。」

言いかけてニヤニヤするりっちゃんに

「…うん?何?」

と、首を傾げると

「…まさか、天城先生と
そんな関係になってたなんて
ビックリしたってさ。
今でもみっちゃんと天城先生の話題は
A学院内ではまだまだ尽きないよ。
この間、2人がショッピングモールで
デートしてたところを
見てた子がいたみたいよ。」

「…あっ、見られてたんだ?」

気づかなかったと苦笑いする私に

「…いいんじゃない?
だって、もうみっちゃんは
『花村さん』じゃないんだし。
…全く、いきなり過ぎてビックリ
しちゃったし、羨ましいわ。」

りっちゃんはそう言いながらも

「…来年の結婚式
楽しみにしてるからね。」

と、笑って祝福してくれた。