暖かかった筈の風が、少し寒く感じてきた、11月の半ば。


学校は、文化祭という事で、賑わっている。


実佑は男の子と行動を共にするらしいので、私は1人で校内を回っていた。


他に、友達もいないし。


「ねえ、君…ひとり?」


後ろから、男の人に声をかけられて、振り返らずに立ち止まってしまった。


また…顔を見たら逃げ出すのかもしれない。
私はどうしようかと、俯いて考えこんでしまった。


「俺もひとりなんだ。良かったら一緒にー…」


男の人がそう言った途端、腕を引っ張られた。


多分、後ろの人とは、違う人。


「悪いけど、この子はオレとここのお化け屋敷に入るんだ」


…えっ!?


私は俯いたまま、さっきよりも腕を強く引っ張られて、暗い教室の中に入っていく。


そこは、確かにお化け屋敷だった。
腕から手が離れて、その代わりに声がした。


「嫌がってたみたいだったから…お節介だったかな?」


そう言われた。


さっき私が俯いて考えこんでいたから、迷惑に思ってると思ったんだろうな。