針井のよく整った顔立ちやどこか人間離れしている美貌は、どっかの科学者が緻密に計算して作られたものだと言われたら間違いなく俺は信じてしまうだろう。

俺は視線を太の方に戻した。

太はスマートフォンをいじりながら、
「美人と言えば美人だけど…他の女子と違って笑わないし、無口だし」

それ以上言いたくないと言うように口を閉じた。

「ふーん」

もう1度、俺はチラリと針井に視線を向けた。

クラスメイトになった女子たちも読書をしている針井に話しかけようとしなければ、近づこうともしない。

本人が読書しているから邪魔しちゃ悪いってか?

それとも、みんな彼女の美貌に脅威――と言うよりも、妬んで仲間外れにしてるとか?