桜――とでも言った方が、正解だろうか?

すぐ散ってしまう儚いイメージのあるそれだが、その分存在感が大きく、華やかで、美しく、春になると必ず多くの人たちから注目される桜。

彼女は、まさに“桜”のイメージだった。

「――まっさか、針井寧々(ハリイネネ)と一緒のクラスだったとは…」

太が思い出したと言うように、呟くように言った。

「は、針井寧々?」

それは彼女の名前らしい。

「知りあい?」

俺はつけくわえるように太に聞いた。

「去年、選択の授業で一緒だったんだ」

太は答えた。