パーティー自体は楽しいと言えば楽しいけど…正直に言うと、苦手を感じていた。

そう言うところが苦手と言うのも理由の1つだし、家族と顔をあわせなきゃならないと言うのが1番の苦手理由だ。

両親と兄2人――これが僕の家族だ。

『葉月出版社』――日本を代表する会社が、僕の実家だ。

会社は兄2人が継いでいるおかげで、僕は大好きな文学の研究ができる…訳だけど、同時に2人の兄をうらやましく思っていた。

兄たちは僕が物心をついた頃にはすでに後継者として期待されて、両親や親戚の愛情を受けていた。

末っ子の僕はいい意味でも悪い意味でも放任されていた。

僕がテストでいい成績を収めても、両親の目は常に兄たちに向けられている。

幼い頃から、僕は1人も同然だった。

両親からして見れば、僕はいないのも同然だったかも知れない。

そりゃ、そうだよね。

息子なんて1人か2人いれば充分だもんね。