恵らしいなと、僕は思った。

いつも強くて、前向きで、何事にも全て一直線で一途。

僕とは全然大違いだ。

「ほら、部屋についたぞ」

「うん、ありがとう」

恵は僕の部屋のドアを開けると、僕を中に入れた。

「まあ…今はお前も言いたくないかも知れない。

だけど、本当につらい時は言ってくれ」

恵は言った。

「俺に心配をかけたくないって言う理由はよくわかる。

でも傷ついて、弱って死ぬくらいなら…言ってくれ」

心配そうに僕を見つめる恵に、
「――うん…」

僕はうなずいて答えた。

「じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい」

バタンと、ドアが閉まった。