「――恵…」

僕を支えて歩いている彼の名前を、呟くように呼んだ。

「どうした?

何かあったのか?」

恵が聞いてきた。

「――僕は、恵に助けられて…守られてばかりだね…」

僕は言った。

「何だよ、今さら」

恵は照れたと言うように目を伏せた。

「お前を助けることとか守ることなんて、今に始まったことじゃねーだろ。

第一、腐れ縁の幼なじみを助けねーバカなんてどこにいるんだよ。

そいつの顔が見てみてーわ」

恵はやれやれと言うように息を吐いた。