なのに…全然変わっていなかった。

僕は臆病なままだった。

臆病で、傷つくことが怖いままだった。

全く変わっていなかった自分の性格に、僕は悔しくて涙が出そうになった。

だけど場所も場所で、何より目の前には萌さんがいる。

僕はフォークから手を離すと、グラスに入っている水に口をつけた。


料理店を出ても、僕たちは一言も会話を交わさなかった。

何がしたいんだろう、僕らは…。

考えながら歩いていたら、1人暮らしの萌さんのマンションについた。

萌さんは何も言わないで、ただペコリと僕に向かって頭を下げると逃げるようにマンションの中へ入って行った。

その後ろ姿に向かって僕は声をかけることができなくて、その場から静かに立ち去った。