「――ッ、ごめんなさい…!」

ガタン!

私が椅子から立ちあがったのと同時に、椅子がひっくり返ったような気がした。

「――せ、芹沢さん!?」

先生が私を呼んだけど、私は逃げるように研究室を飛び出した。

もう、わからない。

自分のことも、先生のことも、何もかもわからない。

外へ出ると、肌に冷たい感触が当たった。

立ち止まって上を見あげると、
「――あっ…」

雨が降っていた。

黒い雲から降ってくる雨が髪を濡らして、躰を濡らす。

冷たい。

雨に当たったことにより、自分の躰が冷えて行くのを感じた。