先生の研究室は3階の1番奥にある。

“葉月風吾”と書かれたネームプレートに視線を1度見た後、コンコンとドアをたたいた。

「はい、どうぞ」

中から先生の声が聞こえた。

「失礼しまーす」

ドアを開けて中に足を踏み入れると、先生は窓の外から私に視線を向けた。

「ああ、いらっしゃい」

先生は椅子をひくと、そこに腰を下ろした。

私は足元にカバンと紙袋を置くと、椅子をひいて腰を下ろした。

何故だか、先生との間に沈黙が流れた。

――な、何か言わなきゃ…。

そう思って口を開いた私に、
「――この間提出した論文のことですが…」

先生が口を開いた。