実の母親には捨てられて、友達なんか1人もできたことがない。

今の今まで1人ぼっちだった私に女神様と言う存在なんている訳がない。

私は息を吐くと、冷蔵庫から離れた。


2月14日――バレンタインデー当日を迎えた。

ガトーショコラは1人で食べることもできなければ、捨てることもできなかった。

紙袋にガトーショコラが入った箱を入れると、学校に行く準備をした。

窓の外に視線を向けると、曇っていた。

今は降っていないけど、しばらくしたら降ってきそうだ。

念のために折りたたみ傘もカバンの中に入れると、紙袋を持って家を出た。