「モエチャン、好きな人いるの?」

電子レンジでガトーショコラが焼けるのを待っていた時、エリーさんに聞かれた。

「好きな人、ですか?」

先生の顔が、また頭の中に浮かんだ。

どうして先生なんだろう?

「当たりですか?」

からかうように言ったエリーさんに、
「違いますよ!」

私は首を横に振って否定した。

チクリと、何故だか知らないけど胸が痛んだ。

「お世話になっているゼミの先生にあげようかなって思って…。

もう来月で卒業しちゃうし…」

言い訳のように呟きながらも、胸がチクチクと痛んでいる。