「あなたはほんとに綺麗だし、
まだ若いから…いくらでもやり直せるよ。

それに度胸もあるしね。
今回は巻き込まれて、すごくツラいだろうけどさ…。

あんまり自分を追いつめるなよ。」


不器用だけど―
吉井の言葉は、そのときの私には温かく感じた。


“吉井さん、どうか…どうか、私を助けて…!”


こころの中に、
そんな言葉が悲しく響いた。



その後、
自分自身の身に何が起こるのかも理解らずに―


そして吉井までもが、
私を追いつめる存在(ひと)になろうとは…
知る由もなかった。



12時間に渡る取り調べ、
身体検査、荷物検査…
私は疲れきっていた。



「これから留置場に行くから。」


もう、何の言葉も出なかった―。



留置場に移動するための車へ乗り込むため、
刑事たちと1階へ降りた。


―かけられた手錠が、とてもきつかった。



「報道陣すげぇな。」


その言葉に、
私は足が震え、その場にしゃがみ込んだ。


床には、ぽとぽとと涙がこぼれ落ちていた。