「今日から逮捕、拘留するから。
あなたには罪名もついてるし、こうやって逮捕状も出てるからね。
あとはー、手紙や面会もダメ。接見禁止ね。」


目の前に広げられた逮捕状―
そして、手錠がかけられた。


『女は度胸』とはよく言ったものだ。


取り乱すことなく、素直に応じた。


現実を受け入れたのか…
それとも、まだ現実だと感じられなかったのか―。



「あのね、こんな状況であなたに言うのも何だけどさ。
あの男、何人も女がいたことは…知ってた?」


このとき初めて、
涙が頬を流れ落ちた。


それはもうとめどなく―
あふれ出る涙と感情を、
誰にも止めることはできなかった。




………



長い沈黙をやぶり、
吉井が口を開いた。


「俺だって、長年刑事やっててさ―
あなたがホントに悪い女か、そうでないかぐらいは分かるよ。」


「……。」


“じゃあ、帰してよ。”