私はあの日の朝―

部屋に飛びこんできた母の震える声によって、浅い眠りから覚めた。

「彩乃…!警察のひと達が、彩乃に話を聴きたいって―…!」

なぜか、彼のことが胸をよぎった。

そして―
私たちふたりが遠く離れていくのを感じた。



部屋から出ると、5〜6人の男性がずらっと並んでいた。


“何…?何が起きているの―…?”


そして『逮捕状』の文字が目に飛びこんできた。

“え、罪名…!?私が…?”

そこには、見慣れた彼の名前『勝己』も―。


「あなたは彩乃さんに間違いないね?この男は彼氏だね?」

「はい…」


それから数分後―
呆然と立ちすくむ私をよそに、家宅捜査が始まっていた。

たった4.5畳半の私の部屋に、型胃のいい男性が数人―


現実か、夢か…すべてが信じられなかった。


そのうちのひとり―
のちに、嫌というほど顔をつき合わせることになる吉井刑事が言った。


「これ、押収して。」


手に取られたのは―
私と勝己がともに3年間を過ごした証…
約200枚の写真と、携帯電話だった。


私は飽きっぽく、よく携帯電話を換える。

勝己と出逢ってからその日までの3年のあいだに、
5台は買い換えただろうか―。


そのどれにおいても、
私のこころの中と同じように…
勝己でいっぱいだった。