“そんなに強い力で閉めなくともいいじゃない―…。”



ここでは、刑務官たちを
「担当さん」と呼ぶ決まりになっている。


そして、私は『118番』。


ここでは、『ひゃく』を省略して『18番』と呼ばれている。

この留置場へ入り『私の名前』が決まったとき、

“ここではみんな誕生日で呼ばれているのか―”
そう思った。


しかし、『132番』が居た。


たまたま割り振られたこの番号―
皮肉にも、私の誕生日だ…。



深々とかぶった帽子の下から、
時おり見せる彼女たちの鋭い目に、
私は幾度となくこころの中で訴えかけた。


“愛するひととの結末が、これ…。
こんなところに居る私の気持ち、わかる?”



もう何度ため息をついたのだろう。
どれほど涙を流したのだろう…。

体中の水分と呼ばれるものすべてが、
涙に変わり流れ落ちたような気がした。



そして毎日、
浅い眠りの中で夢を見ていた。
夢の中の彼は、
変わらずに私の身体を濡らした。


「愛してるよ。」


「ごめんね。」


現実と夢の交差点―
そんな感覚だった。