「雅弥さん誘ってくれたー?」


開始早々に,


お酒が回り始めている女の子が,


少し甘い声で俺に訊いた.



「ああ.

一応な.


まぁ,こねぇだろ(笑)


わざわざ弟のダチが集まるクリパなんてさ.」



「それもそっかぁ〜.

でも残念だなぁ〜.」


その子は,

少しシュンとした顔をして,

冗談めかして言った.



「何お前,


雅弥狙いだったん?」


「えー,もちろんサトシが好きだよー.


でも,サトシは特定の子作らないじゃない?


雅弥さんは大事にしてくれそうだなーって.」


「まぁ,雅弥はそうだろうな.

でもあいつはあいつで,

自分もってっから,

女に振り回されたりしないタイプだぞ?

お前さみしがりじゃなかったっけ?」


「え〜好きになってもらえたら,

そこクリアじゃない?」


「他人の恋愛とやかく言うつもりじゃねぇが,

お前,雅弥のタイプと真逆どころか,

別次元.

逆立ちして反対にしても無理だろうな.」


「うわっ,

ひどぉー!」

その子はそれでも笑っている.


「俺は,女の子にさみしい思いはさせねぇよ.」


「この女たらし〜.」


会話を聴いていた周りからも口々に言われる.


「そう褒めんなって.」


「褒めてないからぁ〜.」


俺はこういうノリでいい.


誰かを傷つけてしまうなら,


誰かを悲しませてしまうなら,


誰かを喜ばせたり,


ましてや愛することなんてできやしない.