「さあ」と言いながら、再び私の前に、刀を差し出す。
私は刀にゆっくりと手を伸ばす。
これを使えば、月神たちの役に立てる。
これを使えば――
「…っ」
刀まであと少しのところで、私は動きを止めた。
……でも、もし逆に、私が月神たちを傷つけることになってしまったら?
私は刀を掴もうとしていた手を引っ込めた。
「どうした?」
「いらないのか?」と、桜美夜行が不思議そうに私を見つめた。
「……これを使ったら、敵を倒せる。でも、同時に、仲間を斬ることも可能になるんだよね?」
私の問いに、桜美夜行は「そうだ」と深く頷いた。
「お前が暴走をすれば、誤って斬ることもあるかもしれないな」
暴走……。
手が震え始めた。
暴走って、どんなになるんだろう。