「私……、何かしたっけ……?」



「あはは」と力なく笑いながら呟いた。



そんな私を見て、桜美夜行が言う。



「さあな。でも、力が欲しいと思ったのだろ?」



「え……」




力が、欲しい?



確かに、月神たちの力になりたいと思った。



もう、誰も、失いたくないと願った。



桜美夜行が、手を前に伸ばすと、そこに、刀が現れた。



その刀を私に差し出して言った。



「使え、琥珀」



「何で、私の名前…」



名前なんて、教えてないのに……。



桜美夜行は、「知ってるに決まっている」と、私の右耳を指差した。



「私は、その耳飾りが琥珀の手に渡った時から、この世界で、ずっとお前を見守ってきたんだ」



桜美夜行は、透明感のある濃いピンク色の石がついたブレスレットを、私に見せつけた。