「・・・っ・・・・・・ハァッハァッ・・・」
私は、涙をボロボロこぼしながら、ただひたすらに走っていた。
『じゃあ、なんで俺の顔見ないんだ?』
――違う。
違うんだよ。
見ないんじゃない。
見れないんだ。
森井がこんなに朝早く、私の教室に来たってだけで。
私を待ち伏せしてたってだけで。
私の胸の中は、騒ぐんだ。
顔なんて、見れない。
見れるわけがない。
森井の黒い瞳を見たが最後。
私は、目が離せなくなる。
囚われる。
「・・・・・・くっ・・・うぅっ」
私は、昨日と同様、裏庭の雑草だらけの地面に崩れ落ちた。
「羽・・・依っ・・・・・・」
どうしよう。
どうしよう、羽依。
ちゃんと、話す事ができないっ・・・・・・・・・