「お前らのコントはいいから早く跳べ。じゃねーと居残りな」

そう吐き捨て、武島先生はすたすたと別の方へいった。

…あ、こっち見てる。

「…佐川」

「…なんだ」

顔を会わせ、

「「……」」

ニタァ、と笑った。

14段の跳び箱は二つある。

二人同時に跳び箱から離れ、それぞれのスタート地点に立つ。

「銀、跳べなかったらお前俺の言うこと聞けよ?」

「じゃあお前が跳べなかったら僕の言うこと聞けよ」

体育館中の人が僕達を見て、出来るわけないとこそこそ話す。

それを横目に見てると、佐川と目があった。

「「…行くぞ!!」」

同時に、目の前の跳び箱へ走った。

「「せーのっ!!!」」


ダァン、と大きな音を響かせた瞬間。

ワァァァ…と声が上がった。



「…っと」

「……ふぅ」

着地。

隣を見ると、同じく着地した様子。

目があった瞬間、パチパチと拍手が聞こえた。

「すごーい!」

「あの高さを一発で跳ぶなんて!」

「いっつもサボってるから苦手なのかと思ってたのにー!」

周りの歓声を無視して、佐川に歩み寄る。

同時に佐川も歩いてくる。