「サボる時間」

「ちげェ。体育の時間だろうが」

僕が他人だったらこの状態なんて見たくない。

もともと壁に背を預け、立っている人の前に立つか?

こんな近くに。壁に手をついて。

なんだっけ、壁ドン?

それしてるっぽく見えてると思うんだ。

…佐川、助けろよな。

「体育の時間?僕にとってはサボりの時間なんですけど」

「ふざけるな、体育は立派な授業だ」

「僕の大切なサボりの時間をとるんですか」

「そんな大切捨なモン捨てろ!いいから跳び箱やれ!」

ぐいっと腕を引っ張られる。因みに佐川も。

「えぇっ、俺まで!?」

「当たり前だ、お前もサボるな」

少し歩いた所で腕を離された。

「罰としてお前ら、一番高いやつ跳べ」

目の前には高い跳び箱。

…14段?

「え、ちょっと銀」

「なんだ佐川」

お互い、跳び箱を見つめながら会話する。

「何段あるんだ、これ」

「さっき数えたら14段だったぞ」

「…お、俺、腹痛くなってきた」

「…逃げるのは許さないけど」

「はあ!?お前これ跳べんの!?無理だろこんなん!」

「サボりを見つかったのは僕らだろ、こっちに責任がある」

「いや武島(タケシマ)が怒ってんのはサボったことに対してだから。決して武島
が俺達のサボり見つけたことに対して怒ってる訳じゃないから」