「朝からずっとその調子だけど、腹でも壊したのか?」

「壊してねェよ!お前のせいだろうが!!」

頭をあげビシッと指を指してくる。

「やっと目が合ったな」

「……!!」

かと思えば机に突っ伏した。

忙しい奴だな本当。

「おい、佐川?」

「……」

「佐川。あと3分で授業始まるぞ」

「……」

「……はぁ……まだ気にしてんのか」

呆れたように囁けば、佐川の体がピクリと動いた。

「言っただろ、僕は男だ。お前がシャイになるような相手じゃない。…お前がそっち系ならなにも言わないが」

「…俺はそっち系じゃない」

顔だけ僕に向けて睨んできた。

それを一目見て佐川に背中を向ける。

「そうか。僕は両方いけるけどな」

「別にお前の事は聞いてねぇ……って今爆弾発言しなかった!?」

「次は数学か、苦手なんだよな」

「ちょっと銀!?俺は聞き逃さなかったぞ!!」

首襟を捕まれ、目だけを佐川に向ける。

「…僕もだ、佐川」

「……は?」

ニヤリと笑った僕を、不思議そうに首をかしげた佐川。

その後ろには数学教師の宮田先生。

大きな影が掛かった佐川は気付いたのか、汗を流しながらゆっくりと振り返った。

宮田先生とは、数学担当なのに体格が良く、常にサングラスをしていて──

「…佐川君。俺にキス10回か、数学プリント30枚。どっちか選べ」


──なかなかいい性格をしている先生だ。


「このドS共がァァァァァ!!!」