「…あーあ、なんもねーなー」
帰宅。ついでに佐川も。
今は僕の部屋にいる。
「何がないって?」
あっち向いてホイで負けた僕は、約束通り佐川にアイスを買ってあげた。
目の前にいる佐川が袋を開け、頬張る姿を余所に、僕は鞄を置いてゴロンとベットに横になった。
「ネタがねぇんだよ」
「お前それは言っちゃ駄目じゃね?初っぱなからネタがないってどういう非常事態だよ」
「ストーリーとかも決まってないし。なんだよ秘密って、さっさと言えよって感じ」
「秘密持ってんのはお前だろ、銀」
「いや持ってるけどよ?どこで言おうかなー、みたいな」
「今言えば?俺も聞きたいし」
「あ、そう?実は僕、女なんだ」
「へぇ、そうなのか……って、はあ!?え、ちょっ、なに言ってんの!!?」
「あ?佐川が言えって言ったから言ったんだろ」
「え、あ、えっマジで?マジなのお前?マジで言ってんの?」
「マジだけど」
あー、僕もアイス買えばよかった。
「だってお前胸ぺったんこだし顔も男みた…いややっぱ顔はナシで」
「どっちでもいける顔なのか、僕は」
自分の顔をペタペタ触ってみる。