「なんでって、そりゃ面倒くさいからですよ」

「同じくめんどい!」

「うわ佐川真似すんなよ」

「いや真似してないけど」

「…はぁ。仲良いんだか悪いんだかわかんねーなお前ら」

あれ、ため息2回目?

「仲いいんだぜ俺ら!先生も混ざりてーの?」

親しげに佐川が武島先生と肩を組んだ。

「離せ。俺はお前に構ってる暇はないんでな」

武島先生が振り払う。

あ、佐川可哀想。しょんぼりし始めた。

「先生!佐川が可哀想です、友達になってあげてください!」

「お前は一体どのポジションで言ってんだ!?保護者か!」

武島先生は3回目のため息を大きく吐いた。

「…まぁいい。お前ら跳び箱は合格な。だからと言って、これからあからさまにサボるなよ」

一回の授業に一回跳べばいいのか。

「わかりました」


「じゃんけんほい!あ、勝った!あっち向いてホイ!」

「あっ」

「うえーい銀の負けー」

「おい、もう一回勝負しろ!」

「ああ、いいぜ!これで負けた方がなにか奢ることな!」

「おっけい。…じゃんけんほい!」

「…ふはは、また俺が勝ったようだな」

「チッ…」

「いくぜ、あっち向いてー…ホイッ!」

「あああ!!」

「よっしゃー!今日なんか奢れよ!!」

「…おいお前ら絶対わかってないだろ、座りながらあっち向いてホイやってる時点で全然理解してないだろ」

気が付けば武島先生から異様な雰囲気が漂ってていた。