「けっ。この状況で何処が大丈夫なんだよ。」


‘男’がバカにしたように言った。

敵の1人が窓から顔を出し、周りを見渡す。


「あ、いた。」


そう呟くと仲間に聞こえるように。


「来たよ。」


とだけ言った。


‘男’はふっと笑い、仲間からナイフを奪って私の首に当てた。

私の真後ろに立ち、手を私のお腹に回すと必然的に体が密着し、歩き出した。

それに続いて仲間も歩き出す。


「行くぞお前ら。」


「ういっす。」


「へーイ。」


「じゃあな、龍王さんよっ!」


「…早く行けよ。つか、ドアの前で立ち止まんな。」


「ハハッ!悪い悪い。龍王さんに挨拶してたもんで。」


「わかったから、前見て歩け。」


「あーい。」