「カナ!お金お金!」

「ハイハイ。」

アリサがトイレに立っている隙に
ポパイにお金を渡す。


「えー!これだけ?
少ないよ!」


「充分でしょ。
どんだけ買い物する気よ」


「でもアリサ一緒だし。
なんか奢ったりしないと格好付かないじゃん。」


「アリサに格好付ける必要ないじゃん」

さらっと言った言葉はトゲだらけだった。
しまったと思いつつポパイを見る。

ポパイはそんなあたしを見て
すでにニヤついていた。

「何、ヤキモチ焼いてんの?」

ポパイが近付いて来る。

鋭い目を細くさせ意地悪にあたしを見据えた。


「ばっっ・・かじゃないのッ!
ホラッ!」

お財布からもう一万円抜いて
ポパイに押し付ける。

でもその手首は
瞬時にポパイに掴まれた。


「ふぅん。
ならいいけどっ」

そう言ってその手首にキスをする。

「ちょっ!
何すんのよっ」

バッと手を引くと
ポパイは答える。

「キスして欲しそうな顔してたからさ」

「しっしてなっ・・」

あたしの叫びが終わる前に
ポパイは玄関に向かって通り過ぎた。

ぽんぽんっとあたしの頭を撫でながら。