激甘⁉︎スイートピー

両親が交通事故で亡くなったのは、
私がまだ7歳の頃。




娘がこんなことを言うのも変だが、
仲が良くとてもいい両親だった。




好きなことはやらせてくれるし、
変なことをしたら叱ってくれた。



だけど、7歳だったから、何もわからなかった。


両親が死んだことも、





なんで、みんな泣いてるのかも。
「なんで泣いてるの?」






草むらで1人の同い年くらいの男の子が泣いていた。



「大切な子が遠くに行っちゃったんだ。」



彼はそう言ってまた泣いた。





私はどうしても慰めたかった。




彼の涙を止めたかった。




だから、咄嗟に言葉が出てたんだ。








「なら、その大切な子の代わりに私がそばにいてあげる。」
「本当?」




彼は嬉しそうに言ってくれた。


「うん!」




私も嬉しかった。



勿論、私は彼と一緒にいることは出来なかった。



身寄りもないから、孤児院に預けられることになった。




私はそのことを知らなかった。


だから約束の印として





近くに咲いていた、鮮やかな黄色のスイートピーをあげた。
「え、いいの?」



彼は目を輝かせて言った。




「うん。約束の印。」





「約束……?」





「うん。約束。ずっと一緒にいるっていう約束。」





「そっか、約束‼︎じゃあ僕もこれあげる‼︎」




彼はそう言って私にひとつの指輪をくれた。
「可愛い!」






早速つけてみた。




それは今思えば、可愛くもない普通のどこでも売ってる子供用の指輪。






なぜ彼が持っていたがわからなかったが、大切なものなのだろう。





「約束の印‼︎お揃いだよ。」





彼はニコッと太陽のような明るい笑顔で笑った。








とても可愛い笑顔だった。
知らなかった。







後で知ったことだった。






スイートピーには黄色の花はない。





近くに咲いていたのはただの造花。






花畑みたいだったけど…




昔の記憶だから無理もない。





あと、





スイートピーの花言葉。





ほのかな喜び 、門出、永遠の喜び



そして、





『優しい思い出』

ー10年後ー




「あー本当にうっっっざいんだけど‼︎」




「まぁまぁ、美香。そんな怒んないの。少しは落ち着きなよ。(苦笑」





7歳から10年後。




私は今17歳になった。




首からぶら下がってるのは






あの時もらった指輪。





私の大事な








『宝物』