「え?、えっと、...」
あれ?さっきまでなんの話をしてたんだっけ?
「...すみませんボーッとしてました」
そう言うとユキさんは大げさにわざとらしく
大きな溜息をついた
「アンタ、大丈夫??」
「え?何がですか??」
思わず質問に質問で返してしまった
こんな電話、幸太君が居る部屋でする訳にもいかないし
かと言って事務所に帰る気分でもなかったので
ボーッと散歩していた
足を浮かすこともできるけど
今はなんとなく地面に足をつけて歩いていた。
「...今日入れてあと6日だっけ?」
「はい。」
「やっぱ、辛くなってきた?」
「いえ。」
もう何回も人の死を間近で見て
看取ってきたんだ。
辛くなるなんて
あるわけがない。
石を蹴りながら歩いていた。
「そう。」
「......じゃあそろそろ、幸太君のところに戻ります」
「あー、分かった。無理しないようにね」
「はい。」
ーーーープチッ
あと6日ーーー。
ハッピーエンドになると信じて俺は幸太君のところに戻った。